思い出のとき修理します「谷瑞恵」の口コミ感想

谷瑞恵さんの「思い出のとき修理します」という本に出会ったのは1年ほど前でした。

出会ったきっかけは友人からの紹介でした。
当時の私はあまり本を読む機会がなく、何か良い本はないか、と探していた私に紹介してくれたのが「思い出のとき修理します」という題名の本でした。

『思い出のときを修理する?』

当時の私には理解できませんでした。
谷瑞恵という作者さんの名前も知らなかったので思わず興味を持ちそのまま書店で購入しました。

ストーリーは大体こんな感じ。

__ 主人公の女性がある商店街へ引っ越した。その商店街で「思い出のとき修理します」という看板が掲げられている時計屋さんを見つけた。
その時計屋さんは1人の男性が経営しており、主人公はたまたまその男性と知り合う。

しばらくして仲良くなり、2人は色んな人々の思い出と出会って…

と、ざっというとこんな感じです。
ネタバレしないように途中までです。(笑)

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あの本は私が読んだ本の中で1番その後の展開が気になる本でした。

谷瑞恵さんの読み手がワクワク、ハラハラ、ドキドキするようなストーリー性に感動しました。

ちなみに私がこの本の中で1番感動したシーンはどこかというと…

やはりラスト!ここは本当に感動感動でした。主人公がこの商店街に来た理由、また時計屋の男性との関係の展開…まさに読み手が気になるところを最後の最後までとっておく!という谷瑞恵さんのこの本の書き方も好きです。個人的には本の最初の文と最後の文でほぼその本の印象というか感想が決まっちゃうのですが、この本は最初も最後も興味を持ちっぱなしでした。

この本だけは、本当に沢山の方々に読んでほしいです。恋愛だけではなく色んな問題も発生したりと、とても楽しめました。

また、ストーリーが身近な話に近いので共感しやすいというのも1つのポイントかもしれませんね。

以上、紹介したのは谷瑞恵さん「思い出のとき修理します」という本でした。

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おさん。「山本 周五郎」の口コミ感想 

山本周五郎は私がとても好きな作家でこれまで全集の大半を読みました。この「おさん」という小説は短編集のタイトルになっていて、全体で9編ある中で最も感動的なお話です。

一般的な恋愛小説ではなく、祝いの席で酔った挙句に一夜を共にした男女が離れられなくなり、夫婦となりました。旦那は大変真面目な職人でしたが、妻となった女は男から離れなれない性癖のある体を持っており、情事の時に主人ではない男性の名前を叫んでしまったことから、旦那は疑いを持ち、一旦離れて生活しようと思い立ちます。出立の朝泣いて引き留める女に必ず帰って来るからと言い残して旅立ったのですが、その後女の噂を聞くと次々と男を引っ張り込んでいるとのこと。落胆した彼はもう家には戻らないと決めるのですが、一緒に生活したときの女のしおらしさが忘れられず、昔の家を訪ねるとすでに女はそこには居ませんでした。近所で消息を訪ねると、最近やくざな男と一緒になり、別の場所で暮らしているとの事。訪ねながらその家の近くまで行くとその男は女に別の男が出来たため、逆上して殺してしまったということでした。男は刑に服していましたが、女が埋葬された寺に訪ねていきます。

主人公の職人は遠方で別の親方に抱えられ十分な仕事をしていたのですが、残した女のことが気になり家に戻る途中、偶然一夜を共にした別の女と行動を共にすることになります。その女とは途中で別れるのですが、離れがたくなった女は男の後を追っていきます。死んだ女房が眠る無縁墓の前で男は心の中で話をします。女房は男を本当に愛していたのですが、一緒にいないと悪い性癖が顔を出し、別の男のもとに行ってしまいました。

主人公は女の思いをやっと理解し、離れてしまったことを詫びます。「堪忍してくれ」といったとたん、女の声は聞こえなくなりました。墓地を出ようとすると男の子が待っていました。「女が近くの宿でおじちゃんを待っているんだ」と伝えます。不義理をした女房への思いを断ち切り、待っていてくれた女の一途な気持ちを思い、口にします。「にんげん生きているうちは、終りということはないんだな」何とも人間への深い思いやりが込められた一言ではないでしょうか。私は周五郎のすべての小説が好きです。